剣道を再開した今も、
あの時の「答え」はまだ見つかっていない。
それでも私は、
途中で手放してしまった「道」を、
もう一度たどり直してみようと思う。
高校時代、剣道部で過ごした時間の記憶は
なぜだか霞がかかったように曖昧だ。
「県大会ベスト8だったよ」
「あと一本でベスト4だったよ」
そんな言葉を、人から聞いて思い出す始末。
必死だったはずなのに、
記憶がうすれているのは、
――きっと、つらすぎたからだと思う。
稽古も、人間関係も、うまくいかなくて
剣道そのものまで嫌いになりかけていた。
だけど、不思議だ。
体は、その型を覚えていた。
竹刀を持った瞬間に、昔の自分が目を覚ましたようだった。
小中学生のころ、私は剣道が、好きだった。
稽古も、試合も、まっすぐ夢中だった。
だからこそ、今は剣道に申し訳ない気がしてしまう。
私に剣道を教えてくれた先生方、
一緒に汗を流して頑張った仲間たちにも、
ちゃんと向き合わずに離れてしまったことが、
どこかで引っかかっている。
だから、今。
少しずつでも、また始めてみようと思う。
もう一度剣道と向き合うことで
忘れてしまった大切なもの、
置いてきてしまった想いを
見つけられるような気がしている。
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